袋入りのインスタントラーメンをOEMで作るメリット・デメリット
カップ麺のOEMと同じぐらい問い合わせを受けるのが、袋入りのインスタントラーメンのOEM製品を作って欲しいという要望です。身近な食品ということもあり、簡単に作れると思ってしまう人が多いのですが、ここでは袋入りのインスタントラーメンをオリジナルで作るメリットとデメリットを解説したいと思います。
・インスタントラーメンの魅力とは
・袋入りのインスタントラーメンを売る難しさ
・同じ袋麺なら生ラーメンのほうがOEMに向いている
・小さな会社やお店の現実的なオリジナルラーメン
・カップ麺よりも売場が絞られる生ラーメン
インスタントラーメンの魅力とは
ラーメンを家で作る人は「すぐに食べたい」という思いが強いです。そのため、スーパーなどではカップ麺タイプのインスタントラーメンがよく売れています。
ご存じの通り“インスタント”の意味は「瞬間」「瞬時」「今すぐ」など。つまり、インスタントラーメンの素晴らしさは「すぐに食べられる」ということなので、その利点がなければインスタントラーメンのメリットは何もありません。
カップ麺がない時代は袋麺の需要もありましたが、今はカップラーメンが主流になっているため、袋麺はそこまで売れていないのが現状です。スーパーやコンビニの棚を見れば一目瞭然です。やはり鍋を出して、そこにお湯を張り、麺を作り、スープを作って完成する袋麺は、そこまで「すぐに食べたい」という気持ちの強いお客様には好かれていないのが現状なのです。
袋入りのインスタントラーメンを売る難しさ
そのような事情を考えると、インスタントラーメンの袋麺をオリジナル商品としてOEMで製造することは、少し考え直したほうがいいかもしれません。
袋麺はカップ麺ほど需要がありません。さらに、開発費のかかるインスタントラーメンなので小ロットで製造することはできず、小さな会社がおいそれと外注に出して製造してもらえる商品ではありません。
それでいて「売れるのか?」という観点から見ると、かなり厳しいのが現状だと思います。先述したように袋麺は昔ほどスーパーやコンビニの棚に置いてもらえる商品ではありません。インスタントラーメンの需要は明らかにカップ麺に移行しているところがあり、袋麺をオリジナルで作っても、おそらく新たに棚のスペースは作ってもらえず、置いてもらえることも難しいと思います。
お土産品としてオリジナルパッケージの袋麺タイプのインスタントラーメンを売りたい人もいるかもしれませんが、これも考え直したほうがいいでしょう。
そもそも袋麺は「安い」という印象をお客さん自身が持っているため、高く売ることができません。たとえば、カップ麺であれば300円ぐらい払ってもいいと思うお客様でも、袋麺だと100円ぐらいしか払わないと思う人はざらにいると思います。
それだけ、袋麺は売りにくい商品であり、わざわざオリジナル品として製造しても、リスクの高い商品になってしまうのです。
同じ袋麺なら生ラーメンのほうがOEMに向いている
もし、オリジナルパッケージの袋麺を製造して、わざわざインスタントラーメンを作るリスクを背負うのであれば、生ラーメンで商品を作ることをおすすめします。
「生ラーメンも作るのは面倒だろ」
そう思う人がいるかもしれませんが、ここは冷静に考えてみましょう。インスタントラーメンの袋麺も、生麺もそこまで作る工程は変わりません。袋から麺を出し、茹でて、スープを作るまでの工程は同じです。「カップラーメンよりも面倒」という状況は両者同じなのでインスタントラーメンの袋麺も、生麺のラーメンも大きな差はありません。
さらに、生麺はインスタントラーメンの袋麺を製造するよりも小ロットで作ることができます。袋麺の場合は袋そのものにイラストやキャッチコピーを印刷しなくてはいけないので、どうしても印刷機を回すだけの製造コストが発生します。
しかし、生麺のパッケージの場合、シールや紙で対応できるため、小ロットで必要な分だけ作ることが可能になります。
小さな会社やお店の現実的なオリジナルラーメン
インスタントラーメンよりも安全性が高く、それでいて美味しく食べられるのも生ラーメンのメリットといえます。袋麺でわざわざオリジナルのデザインのものを印刷して、それをパッケージにして売り出すよりも、圧倒的にリスクを最小限にして、売りやすい商品を作ることができるのです。
もちろん、カップラーメンほどの需要がない商品ではありますが、中小企業がオリジナルの袋麺やカップラーメンが作れるほど、コストをかけることができないのが現状です。そう考えれば、新商品、販促品として考えると、袋麺よりも生麺のほうが現実的な商品と言えるのではないでしょうか。
カップ麺よりも売場が絞られる生ラーメン
ただし、ここまで激押しした生ラーメンですが、1点だけ袋麺に勝てないポイントがあります。それは置き場です。生麺はインスタントラーメンと比べて置き場の面積が狭いので、どうしても袋麺やカップ麺の置き場から離れたところに置かれてしまいます。しかも、スーパーなどでは入口から入って先にカップ麺の売場が来てしまうので、どうしても生ラーメンの売場に来たときには「もうすでにインスタとラーメンを買っちゃった」というような状況になってしまいます。
しかし、そのようなデメリットはパッケージのデザインやコンセプトでいくらでも挽回することが可能です。美味しい商品を作り、ユニークなパッケージを作ればお客様は必ず購入してくれます。そのようなアイデアをフル活用して、袋麺やカップ麺よりも売れる生ラーメンのオリジナル商品を作ることも、ビジネスの面白さなのではないかと思います。
監修/経営コンサルタント 竹内謙礼